サッカーのワーセダ杯は9日、カグラーニャにあるナンプノウ・スタジアムで行われ、 決勝でFCケヤキがカマシュウ(04年11月に「マシュウ」よりチーム名称変更)をPK戦の末に下し、優勝を果たした。ケヤキは初出場での優勝。

ケヤキ4人目のキッカーのシュートがゴールに吸い込まれると、その日一番の歓声がナンプ・ノウにこだました。鳴り止まない拍手の中、ケヤキベンチ前には歓喜の渦が広がり、カマシュウイレブンはピッチに崩れ落ちた。
9日に始まった試合が決着したとき、時計の針は10日の零時5分を指していた。2日間にまたがる死闘はPK戦にまでもつれ、ケヤキの初のワーセダ杯制覇で幕を閉じた。勝てば連覇となったカマシュウは惜しくも準優勝に終わった。

≪激闘120分≫
立ち上がり、両リーグ通じて最多の19得点を奪った勢いそのままに、ケヤキが仕掛ける。 前半11分に先制点を奪うと、さらに攻勢に出て攻撃の手を全く緩めない。このままケヤキのペースになるかと思われたが、そこは前回覇者のカマシュウである。 徐々に持ち直すと次第にペースを握り、ついに後半16分に同点に追いつく。その後はカマシュウの攻勢が続き、何度かの決定機を作り出す。後半終了間際にはこれ以上ないという程決定的なGKとの1対1のチャンスを迎えるが、ケヤキGKの素晴らしいセーブでこれを決められない。カマシュウにとっては嫌なムードのまま、試合は延長戦へと突入する。延長戦もケヤキのドリブルでの仕掛けと、カマシュウの堅い守備からの速い攻撃の一進一退の攻防が続く。 が、両チームともに決め手を欠いたまま120分の激闘を終えると、試合の決着はPK戦へ委ねられる。
PK戦。二人外したカマシュウに対して、ケヤキの選手のキックは確実に枠をとらえ、ネットを揺さぶる。最後は右隅に軽く蹴りこみ、勝負は決した。高い集中力と高度な技術で初の栄冠を勝ち取った瞬間であった。

≪脅威の突破力≫
ケヤキの選手達の繰り出すトリッキーなドリブルや鋭いターンに、ナンプ・ノウが何度も揺れる。今大会屈指のドリブラーを多数擁し、ひたすらに仕掛けた。圧倒的な突破力は他チームの度肝を抜き、グループリーグ、決勝トーナメントを通じ、27得点を叩き出した。
また、守備面での安定感も光る。グループリーグでの4失点は両リーグ最少である。

≪連覇ならず≫
「外し過ぎた。でも、それがサッカーだ。」。
カマシュウのFWの一人は悔しさをにじませながらも、さばさばとした表情でそう語った。 強固な守備力、迫力あるカウンターは健在、そこにさらに高まった連動性を加え、チームとしては昨年以上の完成度で大会を迎えた。手が届きかけた連覇の夢は、最後の最後でその手元から零れ落ちた。
≪あと一歩届かなかった決勝の舞台≫
ミルコ(05年3月に「エム」よりチーム名称変更)と、スポルティング・エモトは共にグループ2位で準決勝へ進出。
ミルコはこれまでのチームカラーであったパスサッカーと極端に高いラインディフェンスを封じ、守備を固めて攻撃に手数と人数をかけないチームへと変貌を遂げていた。これを準決勝でのケヤキとの対戦で機能させられなかったのが心残りである。
高い連動性での崩しを志向するスポルティング・エモトは、ケヤキとの対戦では不用意なパスカットで大量失点を喫する
など乗り切れない。が、徐々に調子を取り戻すとグループリーグ最終戦ではコンビネーションが咬み合い4点を奪い快勝。カマシュウとの対戦となった準決勝でも持ち味は見せたが、角度のないところからGKの股下を抜かれるという屈辱的な一点に泣いた。
三位決定戦後の選手達の表情には、勝利の笑顔の奥に悔しさが滲んだ。

≪初出場チームの健闘≫
優勝したケヤキの活躍は言わずもがな、今大会はヘッド04、SSKジャパンといった初出場チームの健闘も光った。ヘッド04の堅い守備や、SSKジャパンの安定感のある老獪な試合運びは、会場の話題をさらい、大会に新たな風を吹き込んだ。今回は両チーム共にグループリーグで敗れたとはいえ、次回以降の活躍を期待させる内容であったといえよう。

≪調整不足≫
前回大会で不本意な成績に終わったミナミ
ナイコスは、今回も調整がうまくいかず大会開催前から諦めムード。それでも開幕戦では、前回覇者カマシュウと3−3で引き分け、ホストチームとしての意地を見せた。
また、ロマンも大会公式球での練習が出来ず、不安を抱えたままの参戦となったが、自慢の守備力でケヤキとのスコアレスドローを演じる等、存在感は示した。

(2005年07月10日 Worsdcup Web News)

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